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永瀬東 No.3
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「う、うるせえな! どうせ、こんなモンしか取れねぇよ!」
そう言って怒る悠也だが、いや、さすがにコレはない。悠也がバカだと思ってはいたが、ここまでだとは……。
「……で、どうするつもりだよ」
ヒラヒラと答案用紙を見せつけるように煽ると、悠也はもごもごと呟く。
「どうするって……言われても……」
まあ、どうしようもないだろうな。
悠也が勉強が出来ない理由は、勉強の仕方が分かってないからだ。
だから、いくら悪い点数を取っても、復習も予習も出来ない。対処法が分からないからには、何をしようもない。
「………………」
俺はしばらく考え、ある提案を悠也に持ち出すことにした。
「……なあ、悠也。俺が教えてやろうか?」
「え……?」
俺の言葉に悠也はキョトンとする。
いきなりの提案に、動揺させてしまったのだろうか。
「お前のためにすることだし、教える俺も逆に勉強になるかもしれねーだろ? 一緒に考えてれば、一人でやるよりも効率良いし……。だから、俺が教えてやろうと思ったんだけど」
考えを説明するが、悠也はパチパチと瞬きを繰り返すばかり。
断られるのではないかと不安になっていると、不意に悠也がふっ、と破顔した。
「うん……いいな、それ。俺も効率良いと思う。けど………」
「けど?」
「お前の邪魔とか、迷惑になったりしない?」
少し不安そうに聞く悠也に、こちらが笑ってしまう。
「嫌だったら、自分から言わねーよ」
「マジで?」
「ああ」
すると、今度こそ悠也は頷いてくれた。
「分かった。じゃあ明日から、よろしくお願いします! 永瀬ティーチャー!」
悠也が、俺に向かって手を合わせて拝んでくる。
それに俺は、再び呆れたため息を吐いてしまったのだ。
「言っとくけど俺、厳しいからな。ちゃんとやる気あんのか?」
「おう、もちろん!男に二言ナーシ!」
そう拳を突き上げる悠也を見て、改めて思う。
………ヤバい。物凄く心配だ。
自分から言っておいてなんだが、三日坊主にならなきゃいいが………。
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