アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
豊富悠也 No.4
-
(ヤバ………死に、そう……)
終礼後、すぐに寮へと向かった悠也だったが、自分が思っていた予想以上に身体が弱っていたらしく、廊下の壁をズルズル伝いながら歩いていた。
鞄を抱きしめ、懸命に脚を前へ出すが、足元はおぼつかずにフラフラしている。
(何で急に……、一気に悪くなったんだ?)
考えるのも億劫なほど、胸元が気持ち悪い。
寮の階段を上がり、部屋へ続く廊下を歩く。
ふと、廊下の窓から向かいの校舎の窓を見れた。それほど距離はないため、はっきりではないが校舎内も見ることができる。
(あ─────)
その窓際に立っている生徒を見て、悠也は進めていた足を止めた。
東と、あともう一人。
確か数日前、東と図書室で勉強していた女子生徒だ。
二人は向かい合って、女の子は何か真剣そうな顔をしている。
「………………」
放課後。
階段の踊り場。
男女二人きり。
こんな状況、少女漫画を読んだことのない悠也でも分かりやすいシチュエーションだ。
(やっぱり……、モテてんだな)
そんなことはとうに解っている。初めて東と会った、その日から。
悠也からの東の第一印象は、「こいつイケメンだな」ってことと、「無口だな」ってこと。
でも、一緒に寮で生活していくうちに、段々悠也とも話すようになってきた。そして、悠也も東のことを色々知るようになった。
言葉はちょっと厳しくてキツイけど、根は優しくて良い奴で。痛いトコを突いてくるけど、決して悠也が本気で嫌がる事はしてこない。
そんな奴なんだって。
悠也はそう思っていた。
だからそういう意味では、悠也は東を信頼していたのかもしれない。
でも─────。
昨日は…………?
「き……のう……?」
頭が朦朧とする。壁伝いで歩いてきた身体がどんどん重くなってきている。
「もう……むり───」
薄く開いていた景色が暗くなっていき、床がゆっくり近づいてくる。
倒れる。
ただそれだけを理解して、重い身体は動かせない。
倒れていく自分を意識しながらそのままにしていると、ふいに身体全体に衝撃がきた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 301