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豊富悠也 No.10
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「──は?」
一瞬、東が何を言ったのか解らなかった。悠也はただ目をパチクリと瞬かせる。
「え…、何それ……」
一体どういう意味で言っているのか。悠也には東の意図がまだ解らない。
「悠也……、俺、こんなこと言うつもりなんてなかった。絶対に言わない覚悟でいた。だけど……俺のせいで、これ以上お前を困らせたくはない」
どこか思い悩んでいるような表情で、東は必死に言葉を綴る(つづる)。
そして、ほんの少しの間を挟み───。
「好きだ」
東の声が静かに部屋に響いた。
「え───?」
それしか、声が出ない。
何もかもが唐突過ぎて、悠也の頭の中には疑問しかなかった。
「それ、は……どういう……?」
「ずっと、お前が好きだった。一年の頃から。でも、お前も俺も男だろ?だから言う必要はないと思った。言っても、お前が困るだけだって」
「えーっと……」
「けど……あんな酷いことをしちまった。本当に悪かったと思ってる。謝っても、謝りきれない………」
「………それは──」
(俺が───好き?だったから、なのか?)
その疑問は喉まで出かかって、口からは出なかった。
真っ白の頭のまま、その疑念だけがグルグルと回っている。
「俺を許してくれなんて、そんなのは絶対言わない。許してくれなくていい。俺の顔も見たくないって思ってるだろ?」
「え…?いや、そこまでは……!」
「いいんだ。今更、俺のことを気遣ってこなくても。お前がどう思ってるかは解ってる。だからさ、俺、寮出て家に帰ることにする」
「……はぁ?」
勝手に話を進めていく東に間抜けな声が出る。
それでも東はお構いなしに続けた。
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