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永瀬東 おまけ
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「あ〜〜……、やっちまった………」
俺はホームルーム前の教室で、頭を抱え込んでいた。
「なになに?ヤっちまった、ですか?( ^ω^ )」
珍しくニヤついた声色で顔を覗き込んでくる腐女子にイラつき、机の脚に八つ当たりする。
昨晩自分を抑えきれなくて、悠也を無理やり抱いてしまった。
最もしてはいけない行為を犯してしまったのだ。
もう、悠也にどんな顔をして会えばいいのか分からない。二度と、悠也と会話なんて出来ない。
「東」
直樹の呼ぶ声がして、顔を上げる。
見ると、直樹は心配そうにこちらを見ていて、杏は俺の怒りように少しビクビクしてしまっている。
「……悪ぃ」
他人に悪い態度を取っても良いことはない。相手を不愉快にさせるだけだ。
「東、気持ちは大体察してるから、もう何でも相談しちゃって」
らしくない俺の様子に、直樹が口を開いた。
「あんたが何をしても、それでなにがあっても、あんたを傷つけるようなことをした奴がいたら、アタシが守ってやる。杏だって、出来ることなら、してくれるよ?」
ねえ?と、直樹が目配せすると、杏もコクコクと頷く。
「……俺、人として失格だわ」
あんな酷いことをしてしまった俺を、どうして許せるだろう。
恨まれてもおかしくないし、顔も見たくもないと言われて当然だ。
「もう……悠也と一緒に居られない………」
離れるしかない。悠也から言われれば、自業自得だがショックを受ける。
俺自身も悠也も守るために、ここから、寮から出て行かなければ。
暗い表情を崩さない俺を尚も不安そうに見つめる二人は、ホームルームの時間を告げるチャイムによって、後ろ髪を引かれるように自分の持ち場に着いた。
俺もせめて気を紛らわそうと、机の中からお気に入りの小説を取り出す。
───こんなもの、今の俺には気休めにもならない。
ずらずら並ぶ活字を呆然と読んでいると、教室の扉が開き、今一番会いたくない相手が入ってきた。
今、今だけは。
アイツの顔を見れない………。
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