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加藤千彰 No.4
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翌朝、学校に行くと、俺の前の席の豊富悠也が調子を崩していた。
春休み明けでまだ体が順風じゃないんだろうな。
俺が心配して声をかけると、悠也は苦笑いした。
「うーん、でもちょっとだし。起きたばっかだからさ。別に大したことねえよ」
「そーか?そんなら良いけど」
良くないってことは分かってるけど、本人が言っているんだし、あんまり言うとしつこいと思われるよな。
様子見しといてやるかと思っていると、教卓の前ら辺の席にいる男子生徒が、一瞬だけ悠也をチラリと見た。
悠也はそれに気づいていないようだけど……。
あいつって、永瀬東っていったっけ?
去年入学してから、先輩や同級生に「イケメンが来た!」と騒がれていたから、ちょっとした有名人だ。
そういえば、悠也と同じ寮の部屋だった気がする。
確かに、部屋の同居人の奴が調子悪そうだったら気になるよなぁ。色んな意味で。
その日俺は、くらくらとした悠也をハラハラ見守っていたが、結局学校が終わった頃にはそんなことさっぱり忘れて、日向の微笑みに癒されまくっていたのだった。
ごめんよ、豊富☆
一週間後。五、六時間目の生徒総会が終わると、ついでとして重大な知らせがあるとのことで、全生徒は講堂で待機していた。
「えー、生徒の皆さん。前の方を向いて下さい」
教師の一言で、みんなの顔が講壇を向く。
「入院された佐藤先生の代わりとなる先生を、改めてご紹介しようと思います。大沼弘一(おおぬまひろかず)先生です」
紹介された名前と共に、一人の男が前に出る。
ひょろりと背が高くて、縁のない眼鏡に前髪がかかってる。
「一年C組を受け持ってもらいます。簿記とパソコンを担当していただきます」
おお、やっぱり新任がやってきた。
日向が言ってた通り、男の教師だ。
さすが俺の天使。預言は当たるもんだな。
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