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加藤千彰 No.10
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今頃、日向は何をしているだろう────。
そんなことだけを思って、その日を暇に過ごし、空元気のまま部活に参加した。
運動場をぐるぐるとひたすら走り、体力づくりをする。
(つか……、俺どんだけ日向のこと考えてんだ)
走りながら、自分の依存具合に自嘲した。
ある程度自覚していたが、あの日から俺は、ふと気がつくと日向のことを思っていることがよくあった。
全く別の事をしていたはずなのに、いつの間にか日向が関係してきてしまう。
(やっぱ……好き、なんだな………)
待ってるだけじゃ駄目だ。
日向が戻ってこないことに、言いようのない悲哀があった。
なら、自分から迎えに行ってやれば良い。
それが出来なかったのは、俺に勇気がなかったからだ。
もし、日向が他の奴と笑っていたら。
それがもし、歳上だったら。
女だったら。
日向の理想だったら。
俺には、どこにも勝ち目が無い気がして。
そう思うと、身体も思考も動かなくなる。そして、そのまま止まってしまう。
だから、俺は何も出来ない。
でも、それだったら駄目なんだ。
日向を迎えに行けるのは、俺しかいないから。
俺だって一応、日向が好きな一人なんだから。
「行かなきゃ……」
きっと、今からでも間に合う。
そう思った俺は、走るのをやめた。
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