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加藤千彰 No.11
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俺は比較的、真面目に出席してるから「調子が悪い」と言っても疑われない。
部長にも顧問にも「善くなるまで休め」と言われ、途中で抜ける。
サボったことがバレないように、監視カメラがある正門じゃなくて、裏門の方から抜け出そっかな。
そうと決まれば、体育館裏を通って行ったほうが早い。あそこなら、あまり人が来ないから。
小走りで体育館へと向かう。
早く、少しでも早く……。
───お前に会いたいから。
角を曲がって、裏に回る。
そこに、一番会いたがっていた想い人がいた。
「─────」
でも、一人じゃなかった。
日向を壁に押さえつけるように、逃さないようにしている、男がいた。
「日向?」
「ち……、ちあ……」
日向が不安そうに俺を見ている。涙の跡が頰に残っているのが見えた。
か細く俺を呼ぶ声と共に、日向を捕らえていた男の目が俺に移った。
その顔は笑っていた。
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