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御薬袋日向 No.1
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「入院された佐藤先生の代わりとなる先生を、改めてご紹介しようと思います。大沼弘一先生です」
教師の紹介と共に、一人の男性が前に進み出る。
その顔を認識した瞬間、御薬袋日向は全身に寒気を感じた。
鼓動が速くなり、無意識に汗がダラダラと流れ落ちる。
(どうして………)
日向の頭の中には、そんな疑問しか浮かばなかった。
どうして、よりにもよって。
どうして、今。
壇上に立つ弘一と目が合い、不穏な笑みに日向の奥底にあった記憶が鮮明に蘇る。
「───……っ」
二度と会うことは願わなかった。
絶対に関わりたくないと。
そう思っていた人物が、目の前にいる男だった。
周りの音が何一つ聞こえなくなる。合わさったお互いの視線が外らせなくなる。
日向は狩人に追われる小動物のように、今すぐその場から逃げ出したい衝動に駆られてしまった。
日向が弘一という人間を知ったのは、父親からだった。
昔から勉強には厳しい両親に育てられ、日向は懸命に勉学に勤しんでいた。
しかし、日向が小学5年生の時。日向の成績がみるみる落ちていったのだ。
見ていられなくなった父親は、教師をしている自分の弟を家に迎え入れ、教師という仕事と共に日向の家庭教師を頼んだ。
それが日向の叔父にあたる、大沼弘一だった。
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