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御薬袋日向 No.13
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「……それ、俺の話に乗ってる、とかじゃないよな?」
「う、うん。それは……無いよ…」
あくまでこれは自分の意思だと伝えると、千彰の腕が日向と同じく震えだした。
「い、いつから……?いつから、俺のこと好きって………」
「えっと……、3年になった時、かな……?」
「そっか………」
千彰がはあ〜っと、大きなため息を吐く。
そして、日向の頭を優しく撫でてきた。
「……じゃあ俺達、両想いだったってことなんだな〜」
「うん……、そうみたい」
「何か、嬉しいな……。いや、超嬉しいな……っ」
頭の天辺で頬擦りされ、くすぐったさに身を竦める(すくめる)。
「………僕も。すごく嬉しい……」
とても、幸せな気分だ。
好きな人と両想いになれるって、こんなに幸せな気持ちになれるのかと、日向は初めて知った。
「じゃあ……その、答えは?」
「え?」
「告白の……答え」
小さくそう言って体を離す。離れていく体温が心細くて、思わず学ランの裾を掴んでしまう。
「告白っていうかどうか分かんねーけど……、その、一応付き合ってくれるかどうかを………」
「……ふはっ」
顔を赤らめながら真面目なことを言う千彰が可愛らしくて、日向は耐えられずに吹き出した。
「な、何だよ。そんな笑うかよ……」
「あはっ、だって、千彰が面白い顔してたから…っ」
笑いを止めようと思っても、腹筋が苦しくなるばかりだ。
クスクス笑い続けていると、千彰も笑った。
「……やっぱ、笑ったほうが良いよ」
「え?何が?」
笑い過ぎてまた滲んできた涙を拭いながら問うと、くしゃりと髪を撫でられた。
「顔。泣いてる顔より、笑顔のほうがずっと可愛い」
言われた瞬間、ボッと音を立てて顔が熱くなった感じがした。
「なっ、何それ……。恥ずかしいよ……っ」
顔を下に向けて、赤くなってしまった頰を見せないようにすると、またくしゃくしゃと撫でられた。
「まあ、俺はどんな日向でも好きだけど」
「そ、それはないでしょ……」
「ねーわけねーよ。じゃなきゃ、今まで好きのままでいられるわけがねぇ」
自信に満ちた声で言いながら、日向の両手を包んでくる。
弘一より小さいけれど、それでも日向の手をスッポリ包み込んでしまう千彰の手。
弘一より温かくて、柔らかい千彰の手。
ずっと触っていたい。
そんなことを考えていると、千彰が更に手を握りしめてきた。
「日向、返事は?」
「………………」
「俺と、付き合ってくれる?」
急かすように、待ち続けるように、ゆっくりと綴る(つづる)告白に、日向の心臓は破裂しそうだった。
息を吸おうとするのに、熱い吐息が零れてしまう。
「日向」
千彰の呼ぶ声に、日向は覚悟を決めた。
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