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御薬袋日向 No.23
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翌日、カバンを持って部活動に励む生徒達を横目に見ながら、日向は体育館に向かった。
今日は珍しく弘一に呼び出されなかったのだが、日向は逆に会いにいった。
広い体育館でバスケ部やバレーボール部がそれぞれ大いに活動している。
その隅で、生徒達を見守る弘一の姿を見つけた。
弘一も入ってきた日向に気づき、笑顔を向けてくる。
日向は腹を括り(くくり)、弘一の前へ歩み出た。
「……先生、あの、お話があって……」
日向から来たのを意外に思ったのか、弘一は眼鏡の向こうにある目を細めた。
「……そう、分かった。じゃあ、こっちにおいで」
そう言われ、ついていくと裏口から出て、日が刺さない体育館裏へ連れていかれた。
向かい合って立つが、目の前に立たれるだけで圧倒されてしまい、決意が揺れる。
「それで?昨日はどうして来なかったのかな?」
弘一の声のトーンが少し落ちているように聞こえる。日向にはそれが、機嫌が悪い証拠だと分かる。
「………………」
何を言えばいいのか分からなくなり、グッと言葉を飲み込んだ。
けれど、答えなければ何をされるか予想ができない。
日向はもう一度、閉めかけた口を開いた。
「………もう、やめてほしいんです」
「………………」
何も言わない。弘一は黙っている。
話すチャンスを貰えているのだ。
「僕……、好きな人がいるんです。だから、先生とは普通の関係に戻りたいんです。僕じゃなくたって、先生のこと好きになってる人だっているだろうし………」
自分のことは諦めてほしいと、拙い言葉を呟く。
この日向の思いは、伝わっているだろうか。
「『好きな人』、ねえ……」
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