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御薬袋日向 No.27
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千彰が向かったのは寮ではなく、日向の家だった。早々に帰ってきてしまったが、どうやら両親は留守らしい。
そのことにホッとしながらも、日向は気まずさに顔を赤らめた。
「も、もう、千彰!勝手に帰っちゃったら、明日怒られちゃうでしょっ。あんなことまで言わなくても……っ」
恥ずかしさでベラベラと関係の無いことを口走る。
部屋に二人っきりという状況にドキドキして、弘一との事も話さなければならないのは分かるが、その勇気がなかなか出ない。
すると先に、千彰が後ろから抱きついてきた。
「っ……!」
喋っていた口を封じるかのような強さで抱き押さえられ、ごくりと唾を飲み込む。
「───日向……」
ぼそりと耳元で呟かれ、吐息が耳にかかって胸の鼓動が速くなる。
「な、何?」
「俺のこと好き……?」
「へ……?」
聞かれるまでもない質問をされ、一瞬頭の中が真っ白になる。
「好きなら、黙って。俺は今、そういう気分じゃないから。………日向だって辛いだろ?」
「………………」
千彰の言葉に胸がジワリと温かくなってくる。
やっぱり、千彰は日向を助けてくれたのだ。今もこうやって、気遣ってくれている。
体に絡みつく腕に触れると、すぐ近くのベッドに押し倒された。
「……っ」
弘一より優しい動作でベッドの上に転がされ、千彰が顔を見せないようにか、肩に顔を埋めてくる(うずめてくる)。
「……ごめんね」
「何が?」
ふと口に出した謝罪の言葉を聞き返され、喉の奥から熱い塊が込み上げてきた。
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