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御薬袋日向 No.28
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「僕……、千彰に隠し事してた……っ」
「うん」
「嘘も、吐いた……」
「うん」
「先生に……抵抗できなかった…っ」
「……うん」
後悔が積もり積もって、今までの思いを吐き出そうとする。
嗚咽が出そうになるのを我慢して、千彰の体に抱きつく。
「これぐらい、平気だと思ってて……。千彰に余計な心配もさせたくなくて」
「………そっか」
「でも……っ」
「ん?」
大きく息を吸い込んで、力いっぱい千彰を抱きしめる。
「全然っ、大丈夫なんかじゃなかった……!」
「………………」
ふっと、耳元で千彰が笑った気配を感じた。
そして、頭を優しく撫でられる。
のしかかれられているはずなのに、千彰の体重は感じない。そこにも千彰の優しい配慮を感じられて、涙が溢れる。
「ごめん……千彰。助けてくれて、ありがとうっ……」
しゃくりあげてても、気にしない。今はもう、日向の涙は止まらない。
もしあの時、千彰が来てくれなかったら、どうなっていただろう。
日向は完全に心を失って、弘一についていっていただろうか。
そんなこと、想像しただけでゾッとする。
千彰の大切さに、改めて気づかされた。
───ありがとう、ごめんなさい。
感謝と謝罪の言葉をひたすら繰り返す日向を、千彰は静かに抱きとめていた。
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