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豊富悠也 No.20
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「はあ?」
これが、悠也が杏のことがちょっぴり苦手な理由の一つでもある。
何かあると、すぐに「永瀬君が…」と、東の名を口するのだ。正直ずるい。
「何で永瀬が出てくんだよ。関係ないだろ?」
「関係あるかもしれませんよ?中途半端な態度とられたら、少なくともいい気はしませんから。豊富君、ちゃんと永瀬君とお話してあげて下さいね?」
「あー、もうっ、分かったから」
今現在での痛いところを刺され、悠也は堪らず杏を追い払った。杏はまたもや不満げな顔をすると、おとなしく悠也の席から離れていく。
(お話って、何をどういう風に話すってんだ…っ)
少々八つ当たり気味だが、そう思わずにはいられない。
悠也には初めてなことだらけなのだ。分からないのは当然、知らないのも当然。
悠也は少し、現実逃避気味になっていた。
『───悠也、好き…』
耳元に囁かれたあの声が、今でも耳の奥にはっきりと残っている。
思い出すたびに、悠也の体は熱くなっていった。
行為中に見上げた東の顔。眉間に皺を寄せ、苦しそうな表情。薄い口元から吐き出される熱い吐息。色っぽい赤色に染められた頬を伝う汗…。
(……っ、わー、思い出すなよッ!何でこんなに憶えてるんだ、俺!こんなの憶えてる余裕あったら、英語の単語でも覚えてろ!)
忘れるようにと必死に頭を振る悠也だったが、この記憶はそう簡単に消えてくれるものではなかった。
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