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豊富悠也 No.23
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「オゥ……」
その日からまた数日後、寮に帰り、今日の授業で返された小テストの答案用紙を見て、悠也は絶句した。
今回は古典だ。唯一自信があった古典の小テストまでがこの点数…。
悠也は絶句したと同時にうなだれてしまった。
頑張っているはずなのに、いつも結果が空回ってしまうのはなぜだろう?
原因を考えてみたが、やはり思い当たるものは見つからない。
「うーん…、何が駄目なんだ…?」
ぼやいてみても、考えがまとまるわけがなく、悠也はふぅとため息をついた。
と、玄関の物音と同時に、同居人の声が聞こえてきた。
「ただいまー」
「……おかえりー」
いつもここで迷ってしまう。
返事をするべきなのか、しないべきなのか。
同居人として言ってやるのも別に悪くはないと思うが、前までは返事などしなかったし、しなくてもどうせ帰ってきたことには変わりないのだから、返事をしなくていいという考え方も出てくる。
今日はとりあえず返事をしたが、これがどうというわけでもないだろう。
東は部屋に入ると、すぐに自分の勉強机に着いた。
そして、ぼーっとしている悠也が持っている答案用紙を見て、ひょいっと悠也の手から引き抜く。
「……え?あ!?ちょ、待てよ、返せ……っ」
慌てて東のほうに手を伸ばすが、東はその手を上手くかわし、悠也の点をまじまじと見つめた。
「………お前、あれほど予習しとけって言ったのに…」
「したよ!結構したよ!」
呆れ口調で呟かれ、悠也はすかさず反論する。
「じゃあ、この点数は何だ」
「う……っ、それは………」
びしっと目の前に紙を突きつけられ、悠也は言葉に詰まった。
確かに優等生の東から見れば、こんな低い点数をとるのは予習も何もしてないからだと思うだろう。
しかし、悠也は元から頭の要領が悪いせいで、いくら自分で努力してもこのような点数をとってしまうのだ。
それが分からない東に、どう言い訳したらいいのだろう。
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