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豊富悠也 No.29
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自分の意見を曲げない東に、頭にカッと血が上った。
押さえつけられていた手を思い切り振り、拘束を解くと、悠也は東から逃げるように走り出した。
「おいっ、悠也!」
今度は東が追いかけてくる番だ。
後ろから呼びかける声が近づいてくる。
走る速度だと悠也に勝ち目はないので、建物の角や速度を出しにくい道筋を走り抜けていく。
やがて後方からの足音がだんだんと消えていき、悠也はいつの間にか校門に向かって走っていた。
しかし体力が限界になり、走る速度を落とし始め、校門を抜けようとしたとき──。
ドン、と誰かに肩がぶつかった。
「……っ!」
下を向いて走っていたせいで、前方をよく見ていなかったのだ。
恐る恐る顔を上げると、そこには肩を手で押さえた、あの不良の一人が悠也を見下ろしていた。
「って~!テメェッ、何ぶつかって来てんだよ!?」
その一人が声を荒上げると、どこからともなく仲間の数人が集まってくる。
あっという間に、悠也は不良達に囲まれてしまった。
(ヤバ……ッ!)
と思った時には既に遅く、不良の一人が悠也の胸ぐらを摑んできていた。
「ああ?何シカトしてんだよ?浜島の奴のくせして、生意気なんだよッ」
「………………」
どうやらこの不良達は、悠也達の高校、浜島高等学校が学歴が低い学校として見下しているらしい。
「………そう言ってるお前達も、同レベルなんじゃねーの?」
「あぁ!?」
「どこの学校かは知らねえけど、いくら頭がいいからって自分より低いレベルの人を馬鹿にするって、俺達以下だろ」
「……っ、テメェ!!」
悠也が淡々と言葉の意味を説明すると、悠也の胸ぐらを摑んでいた不良がもう一方の手を振り上げ、悠也の顔に向けて振りかざしてきた。
瞬間、与えられた衝撃に耐えきれず、悠也は地面に背中から倒れ、後から頬にジンジンとした痛みが込み上げてくる。
どうやら拳で殴られたようだ。
「生意気だ!浜島のクセに生意気だ!」
「俺達を馬鹿にする気か!?ふざけんなッ」
「ぶつかってきたのに、謝りもねーのか!」
「土下座しろ、土下座ッ!」
次々と投げつけられる暴力の言葉。
悠也はどうすることも出来ず、ただ地面に転がっていた。
そんな悠也に苛ついたのか、不良の一人がまた悠也に拳を繰り出そうとし、その痛みに悠也が覚悟して目をつぶった時だった。
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