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豊富悠也 No.31
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悠也が呆然と東に見とれていると、辺りに聞き慣れたホイッスルの音が響き渡った。
顔を横に向けると、やはりそこには仁王立ちした直樹が眉をつり上げて立っていた。
「あんた達ーーーッ!そこからは学校の敷地内だってのーーーーーー!!!」
「うわっ、やべ!?」
「ちっ、うっせえのが来た」
とっくに超えている校門の地面を見て、不良達は慌てて校門を駆け抜けていく。
直樹はダッシュで不良達を追いかけ、校門まで走って行った。
「二度と来んじゃねーーー!!今度来たらハラパンだかんなァ!?」
小さくなっていく背中にそう叫んだあと、直樹はこちらに向かって歩いてくる。
「おら、立てるか?」
そうして差し伸べてきた東の手を悠也は握り掛け、途中で手を引いた。
何だが、今は東の手を握りたくなかったから。
「いい……」
悠也はそう呟いて自力で立ち上がり、服に付いた汚れを手で払った。
「……ったく、何なのあいつら。頭が痛いわ、いや、喉か」
「……大変だな」
ため息交じりの直樹の呟きに、東が同情の言葉をかける。
「あいつら、どこの学校だ?朝も居たし、こんな時間にもたまってるってことは相当暇なんだろ?」
東が問うと、直樹は首を横に振りながら答える。
「いや?そうでもないよ。都木南岡高校だもん。先生達によると、結構優秀な生徒らしいけどね?アレでも」
「つぎな、おか?」
聞いたことのない学校名に、悠也は首をかしげる。
しかし東はその名を聞いた途端、難しい顔付きになった。
「まー、でもこれで、暴行罪と不法侵入が確定したワケだし。証人もあたしと東でいいわよね?……悠也君、大丈夫だった?」
「あ、うん、たぶん……いてっ」
直樹の言葉に、自分が頬を殴られたことを思い出してつついてみたが、瞬間顔全体に痺れるような痛みが走った。
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