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豊富悠也 No.35
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「………………」
長い長い沈黙。悠也はいたたまれなさに、また床に顔を埋めた。
恥ずかしい、失敗してしまった。
東は引いているだろうか?
そんなことを思っていると、不意に上半身を引っ張られ、起こされた。
「………?」
顔を上げた瞬間、視界が暗くなり、唇に柔らかい何かが触れる。
それはしばらくそのまま悠也の唇の上に重ねられていたが、やがて触れたときと同じ繊細さで離れていく。
視界が明るくなり、目の前に東の顔が悠也の顔をのぞき込んでいるのが分かる。
「……っ」
悠也はみるみるうちに、自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
「ありがとう」
「…えっ?」
「ありがとう、悠也」
「な、何が?」
突然の礼に、悠也は聞き返す。
すると東は蕩けるような笑みを悠也に向けてきたのだ。
「……俺の我が儘を聞いてくれて」
「わ、我が儘って何だよ……。別に俺は……っ」
「いや、俺はお前に自分の我が儘を押しつけてばっかりだ。なのにお前は考えてくれて、迷ってくれて……、俺はいつもお前に迷惑をかけてんな」
「別に、迷惑とかは……。今日だって助けてくれたし………」
「あんなの、俺にとっては屁でもない。好きな奴が困ってたら、助けるのは当たり前だろ?お前が殴られる前に助けたかったのに……」
そう言いながら、東は湿布越しに悠也の頬を指先で撫でた。
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