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如月真 No.1
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「ちょ、見て見て!生徒会だよっ」
「うわっ、ホントだ!やっぱ、カッコいい……」
「ねえねえ!今、あの先輩と目が合った〜!」
廊下を進むたび、側のクラスから黄色い悲鳴が上がる。
浜島高校の生徒会メンバーは代々、顔も良く成績も良い人材がほとんどのため、全生徒達の憧れの的となっている。
そんなメンバーの中に、一年の如月真(きさらぎまこと)も入っていた。
(別に僕は、そんなにキャーキャー言われるほどの顔じゃないんだけどな……)
真は、生徒会に入るだけで内申点が大幅に上がる聞き、何となく立候補しただけだ。
この歓声が誰に向けられているのかぐらい、よく解っている。
前を歩く三年の御薬袋日向、二年の鷹田直樹、そして────。
「あ〜、暇。何で、メンバー全員で見回りとかしないとならねえわけぇ?」
大きなあくびをして、真の隣を歩く、鵺野翔太(ぬえのしょうた)だ。
「……それは誰かさんが、見回りの当番サボりっぱなしにしてたからでしょう」
精一杯の恨みを込めて言うと、翔太は真から視線をそらして素知らぬふりをした。
翔太の目線に当てられた女子生徒達は、またうっとりとした表情をした。
「おーい、しょーたあ?」
後ろから追いかけてくる足音が聞こえ、一人の男子生徒が翔太の肩を組んできた。
「お前、勝手に部屋から出てくなよー。後始末、誰がしたと思ってんだ」
「あー、悪ぃ。朝起きたら、宿題やってねーの思い出してさー」
罪悪感を微塵も感じさせない翔太の様子に、男子生徒は不満そうに眉を寄せた。
「そんで……、その宿題やったのかよ」
「それが、終わんなかったんだよね〜」
ケラケラと笑いながら歩き続ける翔太に諦めたのか、男子生徒はため息を吐いて「次から気をつけろよ」と残して去っていった。
「………………」
こういうことを見るのはいつものことだと、真は自分に言い聞かせて何も喋らなかった。
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