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俺とケッコンして?
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「志摩ぁ…なんか腹痛い。」
「は⁈なに急に!」
俺がクラスメイトの吉岡とゲーム話で盛り上がっていたところ、一応俺の親友の橋本 響也が割って入ってきて冒頭の一言。
「腹痛いなら一人で保健室行ってこい!それかトイレか?」
「無理。一人で行けない倒れそう。志摩も一緒に来て。」
腹痛いと言ってる割に随分と流暢に喋ってるじゃないか。
「星山、橋本保健室連れてってやれよ。なんかかわいそうだし?」
せっかく楽しく会話してたってのに、吉岡は気を遣ってそう言ってくれた。
はぁ…仕方ないな…。
「わかった。響也、行くぞ。」
「ん。」
俺が響也の背中に手を回してやると、響也ははにかんだような顔をし歩き始めた。
俺より20cmは背が高い響也。俺なんかが支えてやってることが何だかおかしいけど、こういう時ちょっとした優越感を感じる。依存されてるって感じる。
「響也、トイレ行っとくか?保健室直行か?」
「保健室行く。」
「わかった。大丈夫なのか?今痛くない?」
「さっきまで痛かったけど、今は志摩がいるからちょっと平気。」
「…そっか。」
それからしばらく無言で歩き保健室に到着した。
保健室には保健医がおらず、壁にかかっているホワイトボードにあと30分くらいで戻ってくる旨のことが書いてあった。
「先生いないんじゃ仕方ない。響也、とりあえずベッドに寝とけ。」
「ん。」
響也は俺の言葉に従順に従い、ベッドに横になった。
「俺は教室戻るかな。響也、一人で大丈夫だろ?」
「やだ。」
「やだって…ガキかよ。」
「志摩行っちゃったら俺一人で死んじゃうかもよ?」
「な!そんなに痛かったのか⁈」
「…痛いよ。」
「…わかったよ。先生戻ってくるまでいるよ。」
俺がベッド横の丸椅子に座ると、響也は安心したように微笑んだ。
「まったく。俺はかーちゃんか…。」
「んー。それ、いいね。」
「は?響也は俺をかーちゃんにしたいの?」
「んー。だから俺がとーちゃんってことになるのかなぁ…。」
「何言ってんだよ。俺がかーちゃんなら響也が子どもだろ?」
「それはやだ。」
「何で?」
「かーちゃんといちゃいちゃできるのとーちゃんしかいないじゃん。」
「は…?」
「かーちゃん。手握って?」
「へ?」
「手握ってくれたら早く治る気がする。」
「何言ってん…」
「お願い、志摩。」
「…。」
俺は今、頭がおかしくなりそうなくらい響也の言動に混乱している。響也は一体どうしたんだ?
なのに、思わず響也に向かって手を差し出してしまう俺がいた。
響也は俺の手を握り、俺の目をじっと見つめた。
「ど、どうした?そんなに腹辛いのか?」
「辛いよ。腹じゃなくて心がね。志摩が女だったら、俺が女だったら。そう考えてたらもう張り裂けそうで。」
「きょ…」
「もう言っちゃう。志摩が手を差し出してくれたから。」
「響…也?」
「志摩が、好き。俺と結婚してください。」
「は…?」
バカげてる。
俺は男で、響也も男だ。
男同士で結婚なんて…。
結婚…。
え、いきなり結婚…?
「って!ちょっと待った!」
「ダメ?」
潤んだ目で響也は言うけど。
「ダメっていうか、結婚の前にすることがあるだろうが!」
「…あぁ。結婚の前にお付き合いするってこと?」
「まずそっちだろ!いきなり結婚って!」
「わぁ〜志摩、俺と付き合ってくれるの?」
「…え?」
「男に二言はないよね?」
「は?…いや、ちょ…待っ…」
「もう待たない。無理。俺、志摩がいないと死んじゃうからね。」
そう言って響也は握っていた俺の手をグッと引いた。
そのせいで俺まで響也の寝ていたベッドに転がることになり…。
「俺、志摩を世界一大事にする。だから…」
響也の顔が近付く。
俺の唇に覆い被さる響也の唇。
すぐに離れていくそれに寂しさを感じてしまった俺は…。
「響也のアホ!誓いのキスはちゃんと誓ってからするもんだろうが!」
悪態をついてもきっとダメだ。俺はもう自分で気付いてしまったから。
「ごめん志摩。後でちゃんと誓うから。今は…」
再び近付いてくる響也の顔。俺は目を閉じて受け止める。
さっきよりも長くて深い響也の愛を。
俺も響也がいないと死ぬのかも…しれないな。
fin.
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