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㉘ 力があるとは?4
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家族………………
「ほんとに?」
信じられない。家族はもっと、叩いたり、殴ったり、罵声を浴びせたりするのが家族であって。
こんなに、温かい安心するのが家族だっていうの?それに入れてくれるの?
「家族?」
『うん。家族。俺の大切な弟。』
『私の大切なおにぃちゃん』
『私の大切な子供よ。』
「ふぇ………。っ……。」
家族。なんて良い響きなんだろう。今までは、怖くて、辛いそんな言葉だと思っていたのに。
「………っ。……ふぇ、……ハッ……ヒック」
また、泣いてしまった僕を、ヨシヨシと慰めてくれた。
その後僕の名前を
【ルカ】と名前をつけてくれた。
涙の歌と書いてルカ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから1ヶ月がたった。
生活にもなれて来た頃。母親のミナが倒れた。
僕は常にラウさんと一緒にいるようになっていてお昼ご飯を運んでくれたラウさんと話をしていたら、
メアちゃんが、駆け込んできた。
『おにぃちゃん!おかあさんが!!!!』
話をするために、手を握っていて良かった。
僕を片手に抱いて、ラウさんはキッチンに向かう。
『おかぁさん!!』
メアちゃんが叫ぶ。
ミナさんが倒れているところの近くに僕を下ろしてくれたラウさんが、ミナさんを揺する。
僕はミナさんの頭元に下ろされたため
ラウさんが、離れていってからの情報は入らない。
けれども、緊迫した、焦ったような気配が張り詰めていた。
僕はとにかく情報を入れようと手探りに床を触る。
乾ききった土が手についた。
手を左右前後に動かし指があたった。
握った途端に流れ込んでくる痛みや息苦しさそして、諦め。
感情などの多さに目眩がするが手は離してはいけない気がした。
僕が触っているのはミナさんの頭。
また、あのイメージが流れ込んできた。
枯れた花の隣で、今枯れていく花。
その後ろで小さな花が独りぼっち。
あぁ、これは。
ミナさんの後悔だったんだ。
夫を助けられなかったこと。
まだ小さいメアを独りぼっちにしてしまうこと。
ラウさんのことももちろん。
「まだ、やり残したことあるじゃん。」
ボソっといった言葉がやけに響いた。
『ルカ?』
こんなにもいい人を失いかけている。
後悔していない。
そう言った彼女が今すごく後悔している。
ぼくにできることはないの?本当に?
・・・僕の家族。
僕のおかあさん。
『ルカおにぃちゃん?』
ポタンとためていた泥水が乾いた土の床に落ちた。
水不足。感染症。この世界のことは大体ラウさんから聞いた。
この国の政治はどうなっているのかとか、なぜ、ここまで放置できるのかとか、
聞きたい。疑問に思うことだらけ。
でも、いつだったか、理由を疑問を全部聞いた気がする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
《姫。この腐った世界を助けてください。姫、あなたには力があるのです。救う力が。》
《……。………救うって、僕にはなんの力もないよ》
《いいえ。大丈夫。姫は知らないだけでありますよ。大丈夫。》
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