アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
㉛ 力があるとは?7
-
sideミナ
「ゲッホ…ゴホ」
いつの間にか夫の病に感染した。
日に日に悪化しているのがよくわかる。
夫は先月この世を去り夫の姿を近くで見ていた私もあんな風になるのかと思うだけで夜も眠れない。
「ゲッホっ…いっ…」
咳き込むたびに痛む胸を握りしめる
(もし、私が死んだら……)
そう考えて涙が出る。
もし、自分一人だけならこんなにも死に恐れることはなかっただろう。夫の元に行けると逆に喜んでいたかもしれない。
だが、夫と結婚し大切な子が二人もいる。
ラウはもう十分な大人だ。職に付き自分一人で立っていく力がある。
だが、メアは違う。
まだ、10歳なのだ。甘えたい年頃で、夫を失ったことで心に大きな傷を作ってしまった。
そんな子を一人にしてしまう事がどうしても気がかりだ。
着々と迫ってくる死に脅えて過ごすそんな日々。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんな日々にある時ラウが、長期休暇で帰ってきた。
真っ白な小さな子を連れて。
メアよりも断然小さい体。3、4歳頃なのだろうか。
とても小さく、とてもきれいな子だった。
真っ黒な毛皮に包まれた体。それと、対象的な真っ白な髪と肌。
この世界とは明らかに違う。
この子はもしかしたら…………
外にいたからだろうか大量の汗をかいている。
その汗を拭う為黒い毛皮を取る。
「……!!!」
思っていた以上に小さく、細い。それにこの傷治りかけではあるが惨たらしい。
ラウが、数少ない救急セットにタオル、メアの服を持ってきた。
汗を拭き、傷に手当をし、メアの服を着せる。
何倍もの大きい服は上だけで十分だったようだ。
しばらくその子は目を覚まさず、目を覚ましたとき衝撃な事実を知った。
目の色が赤色だったのだ。
メアと話して気づく。
目が見えないこと、
耳が聞こえないこと、
足が動かないこと。
酷すぎる。こんなにも小さな子に誰がこんな事を。
怒りすら湧いてきて冷静でいられない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
32 / 60