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㉜ 力があるとは?8
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涙歌(ルカ)と呼ぶようになってしばらくが経った。
「ゲッホ……ガッハ、ゴホ」
死が近づいているのがわかる。最近は子供達にうつさないように自室にこもり放し。
ラウが作ったご飯を取りに行くときだけ部屋から出るそんな生活を送っている。
今日も、ご飯を取りに行こうと部屋を出た。
歩くのもやっとになってきた今は取りに行くのですら辛い。
「おかぁさん。大丈夫?」
メアが、私の肩を支えてくれた。
ガンガンと頭痛がする。胃はムカムカするし、喉は咳き込みすぎて声すらまともに出せない。
メアに心配かけたくなくて頷く。
「ゴホ…」
咳き込むたびに痛む胸を握る。
あぁ。あなた、そんなに早くに迎えに来ないで。
後悔ない。っと言った。
それは自分自身に思い込ませるため。
後悔なんてない。
……後悔なんて……ない。
今までにないくらいの痛みが、胸に襲ってきて体を守るようにしゃがむ。
「おかぁさん!おかぁさん!」
メアの声が聞こえる。
意識が遠のいていっているのだろうか。メアの声が聞こえづらくなった。
乾いた土の床も徐々に近づいてきた。
死にたくなんてない。
後悔なんて…………………してるに決まってる。
メアを置いていくことも、ラウに背負わせてしまうことも。何もかも後悔してるに決まってる。
それに、新しくできた小さな子。
あの子たちの行く末を見届けるまで・・・一緒にいたい。
メアも、涙歌も私が守ってあげないと。
あなた。私を連れて行かないで。
まだ、やりたい事があるの。
まだ生きていたいの。
また、あの子達と話がしたいの。
まだ、………………………。
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