アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
43 王都5
-
目を凝らすとラウの魔獣だった。
今妊娠中のはずだが、あの大きな翼は守りの主を象徴するものである。
(ラウの魔獣がなぜ?)
妊娠中の魔獣を大したことの無い理由で呼ぶはずがない。それに飛んできてるということは相当な距離を飛んだことになる。
妊娠中の魔獣の負荷を想像できない人間ではないはずだ。
なのに何故、今、魔獣が猛スピードでこちらに向かてくる?
俺は、大広間に着陸すると読んでその場所に足を向ける。
(何事なんだ。ラウに危険が迫ってきている。ってなわけではなさそうだが。)
着くとやはりそこに魔獣がいてその魔獣はラウのものだと知る。
腹が大きく、もう時期臨月なのだろう相当しんどそうだった。
それでも聞かねばと
「何があった?」
そう尋ねる。
魔獣は召喚者の意識と連動している。
「シリア。早く来てくれ。」
開口一番それを言われても何が何だかわからない。
挨拶をきっちりするラウにしては珍しい。そのことだけはわかる。
「何事だ」
ラウの焦りに自分も焦っているのだろうか、切羽詰まった声が出てきた。
「…………………………………姫だよ。姫が俺の家にいる。」
「は?」
そんな馬鹿な。意味を理解するのに時間が欲しいがラウは与えてくれそうにない。
「詳しいことは着き次第話す。早く来てくれ。時間が無いんだ。」
なぜ、ラウの元に姫がいるのかわからない
連絡が途絶え、魔獣の限界なのだろう。魔獣も消えた。
すぐさま、自分の魔獣を呼び何が何だかわからないまま魔獣に乗る。
「……ラウの元に行ってくれ。」
家臣たちが慌てて広間にやってきたのがわかる。
でも、そんなことに構ってられなくてそのまま飛び立つように命令した。
ラウの家は確か王都の外。
神域超えた先。
なぜそこで生きることが出来るのか
…………………………………
「……っち。」
そういうことか。なぜ、夢の子はあそこで生きれたか。それはラウが守りの主であるからだ。
熱い日差し、乾燥、疫病、その他もろもろから守ったのだ。多分、片時も離れずそばにいたのだろう、
だが、その力の効力がなくなってきたため俺が呼ばれた。そういうことか?
探して、探して、見つからない。その理由はラウの魔力が気配を隠していたからか。
たしかに、本格的に探し始めたのは、ラウが長期休暇に入ってからだ。
「くっそ」
ラウの何十倍もある俺の魔獣だったら1時間もたたずにつくだろう。
本当に時間が無いんだ。
照りつける日差しから自分を守るように魔力を纏う。
強い風が頬をかすめる。
キラキラと澄んだ光が猛スピードで動く俺に近づいてきて耳元ではじけた。
『 …………………………………助けて』
弾ける音がそう聞こえた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
43 / 60