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47 姫への執着2
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sideルカ
何か、フワフワしたものから意識が戻るのがわかった。
少し体がだるい気がする。
…………………………………近くに何らかの気配がない。
……ひとり。
自分が今1人なことを自覚すると目頭が熱くなってきた気がした。
1人は怖い。
ラウさん……どこ。
今までと明らかに雰囲気が違うこの部屋に自分一人しかいないと考えるだけで震える。
「……誰……かぁ……っ」
本当に小さく漏れ出た声に慌てたみたいに誰かが近づいてくる。
その慌てた勢いで僕の手に何かが触れた。
さっきまで真っ黒だった視界が一気に開ける。
僕がいるところは、大きなベッドの上で、その四方にはカーテンが閉められており、一部乱れている部分がある所から目の前の人が入ってきたのだろう。
茶色い、長い髪は女性を思い立たせるが顔つきは中性的な男性のようだった。
特に印象的なのは緑のキリッとした目だった。その目の色とおんなじ服や装飾品を付けている。
『 お目覚めですか?体調はいかがですか。』
僕の手を握り彼の言葉が頭の中に流れてくる。
2m近くある体を折り曲げベッドに寝ている僕の目線にし、優しい口調で聞いてきた。
「あ、……大丈夫……です」
少しだるいが気にすることもない。
寝転がって話すのは失礼だと感じ体を起き上がらせる。
その際、彼にも手伝ってもらった。
「あ、ありがとうございます。……えっと」
『 リアンです。リアン・フアロ。この城の医者をしています。』
柔らかい印象を受けるこの人、リアンさんは何だか安心する。さっきまでひとりが怖くて怯えていたのにもう、その気持ちはなくなっていた。
「……魔法使い?」
こんな素晴らしい力を持っているなんてすごい。
『 ……はい。……確かに魔法使いですが、自分だけではありません。この国の殆どは魔法使いですよ』
衝撃の事実に驚いた。
魔法
みんながこんな力を使えるのならこの国はすごく平和に違いない。
自分が人を癒し、人が人を癒す。なんて素晴らし力。
『 ……魔法は個々違っていて、私は緑の力。……自然の主の力を持っています。』
みんなが違う力?
どんなのがあるのだろう。気になったが、それよりも、自分の自己紹介をしてないことを思い出した。
「僕、……ルカって言います。ラウさんがつけてくれました。えっと、」
何をいえばいいのかわからない。
自分は何も持っていないし、取り柄もない。なんて続けばいいのか今になって分からなくなった。
『 ……大丈夫ですよ。
うん、そうですね。ここに来て不安でしょ。私からここのことを先に説明させてもらってもよろしいですか?』
確かに、わからないことだらけだ。僕はコクンと頷いてリアンさんと繋がっている手をぎゅっと握った。
ーーーーーーーーー
リアンさんから聞いた話はこうだった。
ラウさんの家で意識を失った僕を王が王都に連れて帰ってきた。そのまま寝たきりで今はあの日から2週間目だと言う。
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