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52姫への執着7
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大きなベッドに横たわるのは王様に似た顔をした老人だった。
こっちに来いと手招きする手はやせ細り、どこかで見た焦げ茶色の斑点が指先から顔まで見える範囲に散らばっている。
(こ、これは……)
ミナさんもこんな斑点があった気がする。
この人も感染しているんだ。
『 ……姫。』
かすれた声。
『 私と姫の二人きりにしてくれ。』
僕を横抱きにしている王様が少しピックっと体を揺らした気がした。
「『 姫は、耳が聞こえない。話す時は触れなければ話せない。だから俺越しに会話をしてくれ。』」
王様は、目の前の老人に向けて言いながら近くにあった椅子に座った。
僕は横抱きのまま
『 二人きりにしてくれ。』
再度、老人がそう言うと王様は舌打ちし、僕を老人がいるベッドに座らせ老人と僕の手を繋げてくれた。
王様は、僕が後ろに倒れてしまわないようにベッドに下ろしたのだろう。背もたれのない椅子は僕にとったら相当神経を使い、体力の消耗が激しいためベッドに下ろされ有難かった。
「1時間だ。1時間経ったら迎えに来る。」
そう言い残して、あの大きな扉から出ていった。
『 姫。……見苦しい姿で……申し訳ない。』
老人が見えている景色が伝わったくる。
白く靄のかかった視界は狭く小刻みに揺れている。
力のない声が今にも消えそう
老人は、僕の手を握りしめ僕を見つめている。
「あの、……えっと」
そんなに見つめられると困る。何を話せばいいのか、なぜ呼ばれたのか知りたいのにあまりにも老人が辛そうな顔するから何も聞けない。
『…………っ。……姫。よくぞ現れてくれた。……私は本当に恵まれものです。死に際に姫に会えるなんって思ってもいませんでした……。 』
老人が涙を流しながら手を握りしめ、辛そうに告げた。
髪の毛が抜け落ち、骨が浮き出るほどまでやせ細った老人が涙を流している。
僕は姫じゃない。
そう言いたい。嘘をつく。なんてことしたことがなくてすごく胸が苦しい。
老人はその僕の様子を知ってか、僕の長い髪を梳くように撫でながら姫っと存在を確かめているようだった。
『 先程の息子の御無礼申し訳ございません。……ゲッホあやつは浮かれておるのです。
先代も、そのまた先代も現れなかった姫にあやつは有頂天になっておるのです。』
再度、無礼を許してやってくれと頭を下げる。
「いいえ。そんなことないです。」
無礼だなんて、思っていない
『 で、ですが。……あなたは伝説の姫でゴッホ』
「お願いします。」
固く、かしこまった言葉はまるで僕に一線を引いてるようですごく嫌だった。
王様はずっと普通に喋ってくれた。それがすごく嬉しかった。
王都に来て、馴染みたいのに、1歩下がった接し方をされてまるで一人ぼっちのようで嫌だった。
『 ……そうですか。姫は優しいのですね。』
弱々しい声を拾い残さないように頭に残す。
『 ………………姫。この世界はどうですか?……枯れたこの国は、もう、右も左も向けなくなってしまった。…………今日を必死に生きることしかできず、明日生きれたら、いいね、っと、民が会話をするんです。』
振り返るように老人はつげる。
どう思われますか。っと
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