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57 独りは怖いから2
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何だか、頭が痛くて目が覚めた。
目が覚めてここは何処だと首を左右に振って枕が濡れていることに気づいた。
しっとりと汗ばむ体が気持ち悪くて手探りで体を起こす。
汗をかきながら泣いていたらしい。
目が腫れぼったく腫れているようだった。
「おにぃちゃん……………………。」
小さく漏れ出た声に少し自分自身が驚いた。
寝起きの頭は素早く今どこにいるのかを探り今自分がどこにいるのかを知る。
習慣のようなものでいつの間にか探っては安心している自分がいる。
(あれ?この気配……)
探り出した先には少し離れたところに王様が居るのがわかる。
でもこの気配。
いつも漂う尖った気配ではなく、それでも張り詰めた気配と疲れた様なオーラがあった。
寝ているのだろう。規則正しく揺れるオーラと息遣いは寝ているものから発せられるものだった気がする。
(寝ているのになんでこんなにも張り詰めているのだろうか。まるで……起きてる時みたい)
これでは休めないのでは無いだろうか。
自分も神経を張りつめた寝方をするから。
そんな寝方では疲れが取れないことを僕は知っている。
「。・:+°。・:+°。・:+°」
少しでもいい。
ほんの少しでいいから楽に眠れるようにと歌を歌おう。
そんな所で寝ると体が休まらないのに……こっちに来て寝ればいいのに。ここは王様の場所なんだから。
ゆっくりとした子守唄。
お空と話す歌ではなく、王様に向けた、王様だけの歌。
眠れ、眠れと繰り返し歌い、まるで母子のある日の出来事のように。
ただ、少し違うのは寝室から離れたところいる者とソファーに横になる者の距離だ。
それでも、歌は透き通るように距離を縮め寄り添い子を寝かす
ファっと揺れた空気が風を起こす。
ルカの髪が揺れフアフアとたなびく。揺れる風は王の髪を揺らしまるで母が子の頭を撫でる様だ。
寝ているのに揺らりと王の体が動き寝室の扉を開けルカが居るベッドに乗り上げルカに縋るように体を預けまた深い眠りに入っていった。
ルカの小さい手が今度は確かに髪に触れゆっくりと撫でる。
想像していたより柔らかい髪質に驚きつつも癖になりそうと撫でる手を止められない。
ゆっくりと休めればいい
張り詰めた気配がなくなり、腰に回された手が何だか妙に嬉しく感じた。
「。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°。・:+°」
王様が気持ちよく寝れるなら歌い続けよう。
眠れ、眠れ愛しい者よと繰り返される歌詞に何だか昔に歌ってたような気がした。
赤いピアスがキラリと光りその中にある小さな、小さなカランコエの蕾だったものが開花している事は今は誰も知らない
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