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59 独りは怖いから4
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しばらく経っても王様が目覚める気配がなかった。
余っ程疲れていたのだろう。
規則だたしく聞こえる寝息に僕は何故だが安心した。
こちらの世界に来て何日が経ったのだろうか。
しばらく寝ていた事もあり時間感覚は狂ってしまった。
(今は朝かな。昼かな。何時なんだろ。)
いつものように外に意識を向ける。
王様が居て、二つ扉の向こうにラウさんが居た。他にも数人の気配がする。その中に知っている気配はなくただ忙しなく動いているのが感じられる。
「アレ……」
ついつい漏れ出た声が王様の睡眠を妨害していないだろうかと慌てて王様に意識を戻すが杞憂で終わった。
再度意識を外に向けるとやはり大きな気配を感じる。
なんだろ……あれ
昔に見た絵本に出てきた……いやもっと最近に感じたことのある気配だ。
スッと気配が消えてしまったが何だか蟠りがつかっかっている
あれから、王様は1時間ほど寝てスッキリした顔で目を覚ました。
「『な……なんで俺ここにいる』」
僕を強く見ながら問いかける。
「え、えっと、」
寝たままではいけないと思い手を使って起き上がる。
どう言葉で説明すればいいのかわからない。
自然と王様がこちらにやってきたのだから。
戸惑う僕に王様は「『すまなかった』」
と一言告げて王様はベッドからでた。
崩れた衣服を直しながら
「『…………お前は』」
グ、パァと手を広げたり閉じたりしながらなにかを考えているようだった。
「……っ!」
ビックリして声も出ない。
急に王様が僕を抱きしめるものだから凄く驚いた。
……何もしゃべらない。
お前は……なんなんだろう。
何をするでもない。ただ、僕を抱きしめてジッとしている。
「『お前は……小さいな。』」
「!」
小さい…………
確かに、この国の人に比べたらすごく小さいのかもしれない。
でも、あの国では僕って普通じゃないの?
普通がわからない。接する人も誰もかもライトの光で黒く見えていた。
お兄ちゃんは僕ぐらいだった気がする。
「『こんなに小さいのに、姫は大変だな。』」
王様から労りの言葉をかけられた。
王様の方が産まれてから決まっていることなのに。僕はただの嘘つきだから何も、王様が気に病むことは無い
「王様はとても素晴らしいです。かっこいいです。」
「『……そうか』」
今日は何だか王様の雰囲気が落ち着いている気がした。
「『…‥力を使ったのか?』」
耳もとで息づかいが聞こえる距離でしゃべる王様の低くて、響きがある声が鼓膜を擽る。
「……っ…力?」
「『そうだ。【姫の癒し】の力だ。』」
「…?」
なんのことだろう?
「『…無意識か?』」
ボソッと言った声が聞き取れなかった。
「王様?」
「『力が回復している。お前のおかげだ。助かった。』」
またギュット抱きしめられた。
(胸がうるさい?)
はじめての感覚。
なんだろう。
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