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それからの俺と朝香の関係は最悪だった。
今までの関係がまるで嘘だったかのように朝香は俺を嫌った。
薊の様子もおかしかった。
雰囲気が明らかに暗くなり、話しかけても1人でブツブツと何かを呟きながらどこかへ消えてしまう。
鬱 という言葉がまるで似合った。
それから数日後
薊に屋上に呼ばれたので行くと、薊は靴を脱いで柵の前に立っていた。
まさか。
「おい、薊、やめろ!」
「ごめんね。西山くん…、私、やっぱり耐えられないの…」
薊の話を遮り薊の手を掴もうと近づくと薊は「来ないで!!!!」と怒鳴った。
「死なせて……」
薊は切ない笑顔でそう言うと、俺に手紙を差し出した。
俺が手紙を受け取るとすぐに薊は「さよなら」と言い屋上から飛び降りた。
目の前の現実を嘘だと思った。
嘘だと思いたかった。
落ちていく薊
あまりのことに頭が追いつかない。
すぐに駆けつけたのは朝香だった。
俺の前にある薊の上履きを手に取り涙を流すと、立ち竦む俺を睨んだ。
そして頬を一発叩いた。
「ここまでしなくたっていいじゃない……」
朝香は泣きじゃくりながら俺の事をひたすら殴った。
貰った手紙にはこう書いてあった。
『朝香ちゃん
いじめのこと、西山くんは悪くありません。西山くんは私のヒーローのような人です。
朝香ちゃん、こんな私と友達になってくれてありがとう。大好きです。
薊の花言葉は報復。いつか報復できる日が来ますように』
手紙は朝香宛だった。
これを何故俺に託したのかはわからない。
手紙の内容からは、朝香に遠回しに真実を伝えようとしてくれてるのがわかる。
助けられなかった。
俺はヒーローなんかじゃないのに。
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