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誰もいない廊下に1人立ち 俺が呼ばれるのを待つ。
生まれて初めての"紹介待ち"である。
ぼーっとしながら窓の外を見る。
教室の中からは
「転校生ってカワイイ子?」「早く紹介してよ!!」「僕は〜 カッコイイ転校生を期待してるぅ〜」
などの声が聞こえてくる。
……転校生を迎えるときの生徒の会話内容はこんなんだっけ?テンションの高さがすごいなぁ… と思いつつも、中にいるであろうカラフル頭の"クラスメイト"を想像し、逃げたくなる衝動に駆られた。
よし、逃げよう!と 1歩踏み出した時、
「それでは入ってきてください」
そんな声が聞こえた。
その言葉と同時に 教室内は静まり返る。
逃げるタイミングが遅れた と思いつつ、静かすぎて入ろうと思うが入りづらい。
一度 目を閉じ、心を落ち着かせ、意を決して目の前の扉に手をかけた。
中に入った瞬間、シ━━━━━━━━ンと音が鳴るんじゃないかと思うくらいの静寂。
俺をじっと見て 皆たぶん 観察しているんだろう。
俺がどういう人間なのかを……
教壇にいる先生の隣に立ち、仕方なく生徒達に身体を向けたとき、俺は目が点になった。
黒髪の奴が見当たらないとは思っていたが本当に教室にいる生徒全員が誰1人として黒髪ではない"カラフル"な頭だった。
そして奴らの表情にも。。。
「綺麗な子でしょう?僕 初めて見た時ビックリしました!」
お世辞を交えながら私の紹介をする担任の話を誰も聞いていない。
" 唖 然 "
その言葉が一番しっくりくる。
理由はどうせ、きっちり制服を着て、その上 髪の毛が黒髪だ。こんな場違いな奴に声が出ないのだろう。
もし 俺が不良として この学校に通い、こんな転校生を見たら皆と同じ表情をしていただろう。
「じゃあ 本人も軽く挨拶よろしくね。その後は一番後の空いてる席に座ってね〜」
その言葉に我に返り、え?何?挨拶?と思いながら
「藤宮 紫乃霧(フジミヤ シノブ)です」
名前だけを言い、指定された席へと向かい、席に座った。
そこからは ホームルームを聞かずに窓の外の青空をただ眺めていた。
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