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(Side:島田)
もうすぐバレンタイン。もちろん僕は彗さんにチョコレートをあげるつもりだ。料理の腕には自信がないし、飲食店を経営する彗さんに不味いものを送るなんて恥ずかしすぎるから、僕は今百貨店で貰ってきたチョコレートのパンフレットを眺めている。
「わ、チョコレートがいっぱい」
教室で見ていたら、後ろから葵くんがひょっこり顔を覗かせてきた。そういえば葵くんは甘いもの、特にチョコレートに目がないんだったっけ。
「ああそうか、バレンタイン?」
「そう。彗さんにあげようかなって。葵くんも、先生にあげるんでしょ?手作り?」
「まさか。毎年無難な感じのをあげてるけど......今年はどうしようかな。島田は?」
「悩んでるんだよねぇ。彗さん、やっぱり口肥えてるし、女性客からも高級チョコとかいっぱいもらってるし......」
「そういや、去年そのおこぼれを貰ったんだった」
そう。いいチョコレートを選んでみても、それ以上のを他の人から渡されてたりする。彗さんは、僕が選んでくれたのが嬉しいんだって言ってくれるけど......
「じゃあ、やっぱり手作りにしてみたら?」
「ええ、それはないよ。不味いものは絶対あげらんない」
「チョコレートなんて、溶かしてまた固めればいいんじゃないの?」
「そんなのは手作りとは言わないよ」
「うーん、じゃあ、溶かしたチョコを自分にかけて、召し上がれ、みたいな?......って、島田?」
「それだ!」
「え、うそ、ジョークだったんだけど......」
言った本人は既に白い目を向けてくるけど、そんなのお構いなしに僕の今年のバレンタインは決まった。ふふふ、以前にローションの代わりに蜂蜜を使ったこともあったから、彗さんなら案外抵抗なく受け入れてくれそう。むしろ、むっつりなところがあるから喜んでくれるかな。
僕がニマニマしていたら、手元からカタログが奪われていて葵くんの目が輝いていた。
「葵くんもすれば?私を食たべて、って」
「いや、無理......待って、今度はなんでそんなキラキラした目してるの」
「葵くん!僕に葵くんちょうだい!チョコ掛け葵くん食べた......もがっ!」
丁度チャイムが鳴って教授が入ってきて、僕の叫びが教室中に響き渡りかけたところを、ギリギリアウトで葵くんが僕の口を押さえてきた。
「馬鹿なこと言ってないで。まったく」
葵くんはブツブツ言いながらも、ノートを広げつつ机の下で相変わらずカタログを見ていた。僕はそんな葵くんの姿を横目で見ながら、頭の中で良からぬ妄想を繰り広げるのだった。
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