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《番外編》2人だけの湯けむり事件簿⑨
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***
ピチチチ………
「ん〜〜〜…………」
小鳥のさえずる音に目を覚ますと、
隣にいるはずの海堂さんの姿はなかった。
どこだどこだと探していると、庭の露天風呂にその姿が見えて、俺も浴衣を脱いで温泉に駆け込んだ。
「1人で朝風呂ズルイ!!」
「気持ちよさそうに寝てるから起こすのも何だと思ってな。」
「………………起きたとき1人なの寂しい」
「悪い。これから気をつける」
いつも仕事で、朝隣にいないことを指してるのだと感じたのか、申し訳なさそうな顔で頭を撫でられた。
「昨日、プロポーズしてもらって半年でしたね」
「なんだ、覚えてたのか」
「当たり前じゃないですか。この指輪の主張すごいですからね」
「外すなよ」
「外しませんよ」
少し冗談めかして言うと、
「もっと小ぶりの方がよかったか…」と少し悩ましげな表情をした珍しい海堂さんが見れた。
***
風呂から上がって、
またもや豪勢な朝ごはんを食して、
もう帰り支度をして離れを出た。
俺のプレゼントどこに行ったんだろ……
海堂さんに荷物を取られて手持ち無沙汰な俺は、
入り口に行くまでの庭を昨日のようにキョロキョロと観察しながら歩いた。
「あー!!!!!!!!」
「なんだ」
「あったーーーー!!!!!」
俺の用意していたプレゼントは、何故か庭にある大きな池の縁石にちょこんと置いてあった。
そういえば、昨日ポケットに入れてたんだっけ?
おそらく鯉を見に縁石に座った時にポケットから落ちたのだろう。
「よかった〜〜!」
「なんなんだ、それ」
「帰ったら教えてあげるね!」
俺からのプレゼントはお揃いのシルバーネックレス。
「束縛」「独占」
ずっと俺だけの海堂さんでいてもらおうじゃないか。
俺は驚いた顔の海堂さんを想像しながら、
幸せな気分で帰路に着いたのだった。
-2人だけの湯けむり事件簿 完-
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