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《番外編》make for you⑤
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何がともあれ、ご飯も炊け、お皿にカレーをよそってテーブルに出した。
「「いただきます」」
海堂が一口カレーを口に入れた。
「どう?!美味しい??」
(ま………、マズイ!!!)
海堂が29年間食べた中で1番といっても過言ではないくらいマズイ。
今まで海堂が食べて来たカレーが本物のカレーなのであれば、これはカレーとは決して言えない。
しかし、愛しい紫音が初めて自分のために作った料理。
そして目の前にはキラキラとした目で表情を伺う紫音。
『マズイ』などと口にできるわけがない。
だけど『美味しい』と言って、嘘だとわかった時の紫音の気持ちを考えてみろ。
「個性的な味だな………」
なんとか言葉を選んだ結果これである。
「美味しくないってこと…?」
ウルルっと涙を溜める紫音に海堂は悔やんだ。
悔やんだが、
(泣きたいのは俺だ。)
そう思いながらも紫音の涙は見たくなくて、海堂は必死にカレーを口に運んだ。
その様子を見て、少し元気になった紫音もカレーに手をつけた。
「ゲフッ………、ま、、、マズっ!!!!!」
噎せた紫音はキッチンへ走り、コップに水を注いで一気にカレーを喉奥に流し込んだ。
「か、海堂さん!水!!
ごめん!!こんなマズイと思わなくて!!無理して食べなくていいよ!!!!」
「大丈夫だ……。無理してない……」
「言葉詰まってるわ!!もういいって!本当にごめんなさい!!」
何度止めても食べるのをやめない海堂に、紫音は痺れを切らして水を口に含むと、海堂にキスをして水を口に流し込んだ。
「ぷはっ……、海堂さん、本当に無理しないで」
「海堂さんが死んじゃう…」と大袈裟なことを言いながら、ギューっと抱きついてくる紫音に海堂は愛しさが爆発しそうになった。
「紫音、俺は紫音が料理作ってくれて嬉しかったよ」
「で、でもこんなの……」
「要は料理が上手いから今度教えてもらおうか」
「は、はい!あの、俺頑張るから!!」
こうして後日、毎日のように海堂の家に佐倉が訪れ、2ヶ月の特訓の末に紫音は料理が作れるようになったのだった。
-make for you 完-
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