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《番外編》a LIFE ⑨
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「紫音くん、よく頑張ったね」
霞む目の前には俺を撫でながら微笑む田山先生。
「紫音………っ!!」
そして俺の愛しの旦那様。
誠さんは俺を抱き寄せ、ギューっと苦しいくらいに抱きしめてくれた。
「海堂さん、おめでとうございます!2926gの元気な男の子ですよ。どうぞ抱きしめてあげてください。」
別の部屋から看護師さんが、真っ白なタオルの中に包まれた俺たちの赤ちゃんを連れて来た。
看護師さんに赤ちゃんを手渡されて、震える手に「とまれ」と何度も願いながら受け取り、そして赤ちゃんの顔をそっと覗き込んだ。
「か……、可愛い〜〜〜〜!!!!」
俺の赤ちゃん、麗音は最強に可愛い天使のような顔だった。
「おぎゃあ〜〜!おぎゃあ〜〜〜〜」
「あぁ!泣かないで麗音……っ」
よしよし、とあやしてみるも全然泣き止まず、どうしようどうしようとオロオロしていると、誠さんが腕を伸ばして麗音を抱き上げた。
「麗音、俺の奥さんを困らせないでくれ」
「ふぇ………??」
慈しむような、それでいてとても幸せそうな優しい顔で、誠さんは麗音に何度も唇を落とす。
赤ちゃんは泣き止んで誠さんを見つめていた。
2人で赤ちゃんを囲むその光景はまだ実感するのが難しいけど、無性に泣きたい気持ちになって、俺はポロポロと嬉し涙を流した。
「紫音、麗音を産んでくれてありがとう。
麗音、俺たちの間に生まれてきてくれてありがとう。」
誠さんも目の端に涙を浮かべながら、俺たち2人を抱きしめた。
これから俺たちはまた新しい温かい家庭を築いていくんだろう。
こんな親バカな誠さんと俺の間に生まれたんだ。
きっと俺たちにも、周りにもたくさん愛されて、
優しくて素敵な子に育つと思う。
麗音の大きくなったお話は、また麗音が大きくなったらみんなに話すことにするよ。
俺も誠さんと、そして新しく生まれた小さな命をギュッと抱きしめた。
- a LIFE 完 -
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