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《番外編》バイト始めました⑥
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海堂side
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紫音が突然バイトを始めたいと言い出して、紫音の意見も尊重したいと思って許可を出した。
その2日後に「採用された!」と笑顔で俺に報告をしてきた紫音に、バイトが決まったことに少し残念に思いながらも嬉しそうな顔が見れたから良かったと、俺も一緒に喜んだことを覚えている。
でもバイトが始まってから、紫音は22時までのバイトを週4日入れると言い出した。
さすがにそれは駄目だと思い、話し合おうとしたがいまいち冷静になれず、少し強く言ってしまった。
どうせ帰っても紫音はいない。
俺といるよりバイトの方が楽しい。
そう感じ取ってしまった俺は、家に帰ることに酷く嫌気がさしてしまい、前に住んでいたマンションに寝泊まりすることが増えた。
だけどもう2週間、そろそろ紫音に謝りたい。
今日は紫音が待つ家に帰ろうと、珍しく電車を使って最寄駅で降りると、ホームにしゃがみこむ人影があった。
電車から降りてくる人にもぶつかりそうで、下手すると線路に落ちかねないと思って声をかけた。
「大丈夫ですか?」
「ふぇっ………、ひぐっ………」
「…………紫音?」
話しかけると、しゃがみこんでいたのは紫音だった。
目の腫れを見るに長いことここにいたんじゃないかと思う。
それに今は23時。
紫音のバイトは22時に終わり、そしてそこからここまではそう遠くはない。
ハンカチで涙を拭ってやり、脇に手を入れ立ち上がらせると、シャツのボタンは掛け違え、ズボンのボタンも開いたままだった。
「紫音、何があった?!」
「ま…まごどさぁぁん…!!!」
肩を掴んで目を合わせると、紫音はまたボロボロと涙をこぼし、俺にギュッとしがみついてきた。
俺はきていたトレンチコートで紫音を包み、横抱きにして駅員に事情を言って改札をくぐり帰路を急いだ。
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