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《番外編》僕は王子様⑦
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***
「鏡よ鏡、この世で1番美しいのはだーれ?」
「お妃様、それは森の奥に住む白雪姫という女の子です」
「なんですってー!もう一度言ってごらんなさい!」
幼稚園のお遊戯会用のホールに入ると、白雪姫はもう始まっていた。
幸い、麗音の登場はまだのようだ。
お妃様と鏡のシーンが終わり、背景が森に変わる。
そして舞台袖から、フワフワのドレスを纏った可愛らしい子供が登場した。
どうやらあれが白雪姫こと"こうすけ君"らしい。
「あれが男の子なのか?えらく可愛らしいな」
「だよね…。女の子みたいにクリクリな目……」
誠さんと感心しながら劇を見る。
小人たちもみんな可愛らしくて、自分の子供が出るたびに、それぞれの親がカメラのシャッターを切る。
俺も麗音はまだかと待ちわびる。
「白雪姫ー!!やだー!死んじゃやだ〜!!」
白雪姫がお妃様扮する魔女に渡されたリンゴを口にして倒れてしまい、小人たちが泣きながら白雪姫を囲った。
そろそろかな…、と俺は持ってきていたビデオカメラを構える。
小人たちが泣き果てているところへ、舞台袖から王子様こと、麗音が登場した。
「何があったんですか?」
「王子様!白雪姫が〜〜死んじゃった〜!えーーん!!」
「こんなに美しい女性が……、なんてことだ……」
(え………???)
俺は麗音を見ながらしばし硬直する。
ついこの間まで「おーじ様」やら「しらゆきひめ」やらフワフワとした口調だったのに、このキリッとした話し方は一体どうしたのだろうか。
ましてや俺の前では一度も練習をしていない。
そして王子様の麗音は白雪姫であるこうすけ君に顔を近づけた。
「「きゃ〜〜〜///」」
周りの保護者の歓声と共に、俺の中で何かがパリンと割れた音がした。
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