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《番外編》僕は王子様⑧
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***
その後無事に劇は終わり、大歓声に包まれた。
子供達が衣装のまま親の元へ駆けて行く。
麗音を待つが、王子様役の麗音と白雪姫役のこうすけ君は舞台の前で他の親御さんに囲まれてなかなか帰ってこない。
「うぅ〜〜……。麗音がぁ……」
「まぁそう落ち込むな。化粧が崩れるぞ」
麗音がキスしたことにウルウルと涙を滲ませていると、とうとう待ち焦がれた我が息子が人の塊からヒョコッと顔を出してこちらに駆けてきた。
「パパ〜!!」
麗音は誠さんの胸へ飛び込み、「こっちこっち」と手を引っ張って何処かへ行ってしまった。
(何で誠さんだけ……)
俺は悲しさのあまり、もう我慢できなくて、その場で泣き崩れてしまった。
「か…、海堂さん!大丈夫ですか?」
「よければ胸を貸しましょうか?」
「これで涙拭いてください」
俺を男と知らない他のお父さんたちが周りに集まり、その奥さんたちの鋭い視線が俺に集まる。
早く泣き止んで誠さんと麗音のところに行かなくちゃ。
そう思うが、お父さんたちに取り囲まれてここから抜け出せそうにない。
どうしようかと途方にくれていると、大きく透き通った声がホール全体に響き渡った。
「僕のお姫様に手を出すな!!!」
ザワザワと辺りがざわめき、周りのお父さん達も何だ何だと振り返って視界が開けた。
俺の視線の先にいたのは、王子様の格好をした麗音だった。
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