アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
《番外編》大運動会−昼の部−③
-
***
「広翼〜〜!頑張れ〜!!!」
「こうすけ君あとちょっとだよー!!!」
広翼くんは足があまり早くなくて、3人ほどに抜かされてしまった。
なんとか走りきり、次の走者へバトンを繋いだが、後半に行くにつれて他のクラスも足が速い子を固めていて、なかなか差は埋まらない。
香さんは広翼くんが落ち込んでいるのを心配そうに見つめていて、その方に視線を移動させると、とうとうスタートラインに立つためにアンカー達が立ち上がった。
麗音は泣きそうな広翼くんに何か耳打ちをしてスタートラインに立った。
広翼くんは顔を上げて、スタートラインに立つ麗音を見つめる。
俺たちも麗音に視線を移すと、トップを走っているクラスのバトンが渡り、そして2番、3番とどんどんアンカーがスタートする。
「麗音、頼むっ!!」
4番目にバトンを持って走ってきた男の子に麗音は頷き、流れるような動作でバトンを受け取って麗音が走り出した。
「れーくん〜〜!!!頑張って〜〜!!!」
「れーくん…っ!!」
応援席からは俺と香さんが声を張り上げ、広翼くんは両手を握りしめて祈るように麗音の姿を追っていた。
麗音は3位、2位とグイグイと順位をひっくり返し、残りは前を走る1人を抜かすだけだ。
「麗音〜〜!!!!いっけぇええ!!!」
「抜かせー!!!麗音いけるぞー!!!!」
「麗音くーん!頑張ってー!!!」
走り終わったクラスのみんなからも声援が飛び交い、麗音はまたスピードを増し、1位がゴールする直前に一歩前に出てゴールテープを切った。
「「「わぁ〜〜〜!!!!麗音〜〜〜〜!!!!!」」」
麗音はゴールに集まるクラスのみんなに笑顔を返しながら、ほろほろと涙を流す広翼くんの元へ行き、ギュッと抱きしめて額にキスを落とした。
周りの子供達は絶句し、保護者席も来賓席も、先生達も全員が口を開けて固まった。
ただ1人ニヤリと笑う誠さんを除いては…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
245 / 271