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《番外編》大運動会−昼の部−⑥
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麗音含む1組チームは1年生が転んだり、2.3年生の間でバトンパスをミスしたりと大きなロスを喰らい最下位になっていた。
残すは5年生と6年生。
6年生は組み体操の後で疲れているにも関わらず1周半だ。ここで巻き返すチャンスは十分にある。
ただ麗音は足を捻っていて全力を出して走ることは無理に等しい。
1組チームの5年生は足が速く、なんとか2人抜かして4位まで持ち込み、バトンが麗音に渡った。
麗音は足の捻挫なんかが嘘かのようにスピードを加速させた。
半周、つまりゴール地点は俺たちの前にある。
「れーくん〜!頑張ってぇ〜〜〜!!!」
俺たちのそばでは広翼くんが必死に声を張って応援している。
その声が届いたのか、麗音は更にスピードを上げて俺たちの前で一人抜いた。
なんて言うか、パフォーマンス性まですごい。
その後の半周でまた一人抜かし、あとは1位の走者だけ。
差はそんなにない。このままいけば抜かせるだろう。
誰もがそう思った瞬間、麗音の体躯がグラっと揺れた。
表情を歪め、スピードも落ちて走り方に違和感がある。
きっと今のカーブで捻った足を強く痛めたのだ。
さっき抜かした走者がラストスパートをかけて、また麗音との差を詰めてきた。
しかし、麗音はゴール近くにいる広翼くんの姿を視界に捉えて、グッと足を踏み込んだ。
ーーー
「ゴーーーーーーール!!!!1位は5組です!!!!」
結局あのまま順位は変わらず、麗音は2位でゴールテープを切った。
広翼くんが麗音に駆け寄り、体を支えながら養護テントへ連れて行った。
手当てをしてもらった麗音がテントへ帰って来たが、足は包帯で何重にも巻かれ、病院の紹介状まで書かれていた。
相当酷い捻挫のようで、麗音は困った顔をしながら泣きじゃくる広翼くんの頭をよしよしと撫でた。
結局総合優勝は白組で、麗音と広翼くんの属する赤組は僅差で負けてしまった。
しかし今日のMVPといっても過言ではない麗音は、病院に行かなければならないのに、友達やたくさんの女の子に囲まれて身動きの取れない状態になっていた。
仕方なく誠さんが周りの子供に断りを入れ、麗音を担いで車まで運んでいった。
俺も車に向かおうと、香さんに「またあとで」と挨拶をして歩き出すと、広翼くんが俺を引き止め、着いていきたいと強請った。
「紫音さん、ごめんね。広翼も連れていってあげてくれないかな?」
「わかりました。じゃああとで合流で」
俺は広翼くんと一緒に誠さんたちの待つ車へ向かった。
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