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《番外編》そうだ、京都へ行こう。⑨
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「うぁああああん!!れーくんっ!!怖かったぁあ」
やはりおばあさんが見つけた迷子の男の子は広翼だった。
家屋に入った途端、玄関に座っていたらしい広翼が体当たりするように僕に飛びついた。
泣き続けていたようで、目は腫れて、声も掠れている。
「ごめん、広翼。僕が置いて行ったから…」
「ん……グスンッ……、違う、よ……、僕がれーくん探さずに…ヒクッ………、ちゃんと言われたとこで待ってたら………グスッ………」
「一緒に行けばよかったね、ごめんね。広翼のこと喜ばせたくて。………お団子冷めちゃったけど食べようか?」
僕が袋に入ったみたらし団子のパックを出すと、広翼は袖で涙を拭ってニコッと笑ってみせた。
二人で玄関に座ってモグモグと団子を食べていると、それに気づいたおばあさんが隣の団子屋で何種類かの団子をもらってきてくれて、お腹いっぱいになるまでたくさん団子を食べた。
「あ!!!」
「え、なに?れーくん、どうしたの?」
「クラスのみんなのこと待たせてるんだった!!!」
おばあさんと隣のお団子屋さんにお礼を言って、広翼の手を握って清水寺へと走った。
結局クラスのみんなは他の先生と先に清水寺へ入り、担任の先生だけが入り口で待っていてくれた。
1時間も待たせてどういうつもりだと怒られてしまったが、「無事でよかった」と抱きしめられて、心配されてたんだと嬉しい気持ちと罪悪感でいっぱいになった。
僕と広翼は清水寺を少しだけ見て回り、みんなと合流した。
みんなは文句を言いながらも、僕たちのことを心配してくれていたみたいで、とても心があったかくなった。
旅館へ戻って風呂と夜ご飯を済まし、また昨日と同じ配置で眠りについた。
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