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「ずっと、お前が忘れられなかった」
背中を向けたままそんな事を言う彼に目を見開く。
「今日の合コンは、無理矢理参加させられただけだ。俺は今でもお前が好きだ」
何を言っているのか全く理解出来なかった。
「どうして別れる事を選んだのか、どうして、お前の二人でやり直そうという言葉に頷かなかったのか、後悔ばかりだった」
そして僕の心に突如湧き上がったのは、あの日の、やり場のなかった感情だった。
「何、それ…」
僕は彼の背中を、空いている手で思いっ切り殴った。
「お前が言ったんだ!もううんざりだって、そう言ったくせに今更後悔しているなんて。僕も、僕達の関係も全部、捨てたのはお前だろう!」
息を吐く間もなく叫ぶ。
彼は直ぐに振り返ったけれど、一方的に責める僕から目を逸らさなかった。
同性同士の恋愛にも、仕事にもお互い余裕なんてなかった。それでも、好きだから一緒にいたかった。
「…それだけか?」
その言葉にはっとなり、酔いが一気に醒める。
「あ、あの、ごめん…」
こんな風に彼を怒鳴った事など初めてで、慌てる僕を彼はそっと抱き締めた。
「良いんだ。お前が謝る事なんて何もない。言いたい事を全部言ってくれ」
優しい声が僕の心を揺さぶる。涙が、本当の想いと共に溢れ出す。
「好きだった、別れたくなかった、今も、好きで、でも、会えて嬉しかったのに、目も、合わせてもらえなくて、合コンって聞いて、辛くて、悲しくて、沢山飲んで、もう全部、忘れたかった…」
彼は僕の髪を撫でながら、うんと小さく頷きながら聞いてくれた。
「もう一度、やり直してくれないか?」
彼の胸に顔を埋め、僕は素直に頷いた。
喧嘩をしても、泣いてしまう事があっても、これからはきっと大丈夫な気がした。
「最高のプレゼントだな」
僕を抱き締めたまま、そんな事を言うから思わず笑ってしまった僕に、彼が拗ねた様な顔を向ける。
「僕もそう思う」
彼はふっと笑みを浮かべ僕にキスをした。
「本当は再会した時、思わず抱き締めそうだった。我慢出来ないとまずいから目を見れなくて、お前が話し掛けてくれたのも嬉しくて、言葉も出なかった」
悪かった、そう言って謝る彼に僕からもキスをする。
「メリークリスマス」
最高のクリスマスに、最高のプレゼントを、ありがとう
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