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人×妖怪
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「…っ!? こ、こは…? ……っは、貴様! ここはどこだ! 早く離さんか!!!」
薄暗い洞窟に鎖で両腕を壁に繫がれた女が1人。
「…」
「おい小僧っ! 早くこれを外せと言っているのが聞こえんか!! さもなくば、………っ!?」
怒りの顔で目の前の男を睨み上げる。もとい、その女の身体には鱗が現れ、下半身はもはや人の足の形を成してはいなかった。女のそれは、魚の尾そのもの。
この女、人ではなかった。
「さもなくば? さもなくばどうすると言うのだ。何も出来ぬその身体で。また化け物になって暴れるか? …人魚よ」
「くそっ、魔抑制の術か…。人間の小僧ごときが小癪なことを…っ!!」
一方、女の前に立ちはだかるこの男。散々暴言を吐かれたのにも関わらず、顔色1つ変えずに女を見下ろしていた。
そして一言、冷たく言い放つ。
「言いたいことはそれだけか。ならば良い。……お前たち、コレを塞ぐぞ。……やれ」
「なっ…」
男が言うがはや、どこからとなく大男が3人、出てきて女の両腕から鎖を外し、代わりに身体を縄で縛り上げる。男は女が身動きできなくなったのを確認すると、その場にいる全員に言い放った。
「今から逆鳴らしの呪法と共に裏御神楽舞の奉納を行う! 皆の衆、全員この場から立ち去れ!!」
「…っ!!」
女の顔に焦燥の色がにじみ始める。その場にいた全員が洞窟から出ていく。そして男はおもむろにしゃがみこみ、人魚の女の顔を、顎を掴んで持ち上げる。
「さらばだ。…苦しみもがき、喘ぎながら死ぬがいい」
「っ触るな! この人の皮を被った鬼がっっ!!」
「…どちらが物ノ怪なんだか」
男は人魚の顎を乱暴にはなし、付近にいた白拍子に声を掛ける。
「頼んだぞ、お前に能力を存分に発揮してくれ」
「はい…お任せください」
更にその白拍子の後ろには楽器を携えた4人の男。
白拍子が縛り上げられた人魚の前に進み出る。そして男の口が、人魚に完全背を向ける間際、動いた。
「_____、…っと。……に」
その一言に目を見開く人魚。そして何かを思い立ったかのように再び暴れ、叫びだした。…男の名を、呼びながら。
「…っ待って。お願い__、話を聞いて…っ! ___様ぁっ!!」
だがその叫びは男の耳に届けど、心には届くことなく、ただ哀しく静かな洞窟にこだまするだけだった。
白拍子が、扇を振りかざす。
「お前がもたらした我らの怒り、しかと受け取るが良い……!!!」
言うが否や、美しい竪琴の音が洞窟に響き渡る。そして次々と楽器が旋律を重ねる。それに合わせるようにして白拍子が舞い、踊る。
「っう…! う、あぁ…っ」
人魚の顔が苦痛に歪み始める。顔を両手で覆うがそれは変わらないようで。尾がどんどん伸び、肌にある鱗の数はみるみるうちに増え、唇からは牙がのぞく。
尾がとぐろを巻き、妖しくうごめく中で、人魚は残りわずかの自我をふりしぼり、最後の助けを男に求める。
だが竪琴を奏でる男の表情は、ひたすらに無の境地といったようだった。
「っ…ぁあっ…! ぅ、あっ。 お、願い…しょ…いっ…! あぁっあ、や、め…てぇっ…うっ!
…っ、い、やぁあああぁあぁぁぁ、ああああぁあぁぁぁぁっっ____!!!」
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