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寝起き
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結局、綾が起きたのは授業が終わるチャイムが鳴った後だった。
「んん、あぁ〜……よく寝た」
「よく寝たじゃないよ、授業サボりになったじゃん」
「へ?そうなの?」
「今なら俺綾のこと殴れそう」
「だってさ、俺の事置いてって授業出れば良かったじゃん?
なのにしなかったって事はさ〜俺の事少しは想い始めてくれてるって事でしょ?」
「そっ……そんな訳あるか。ほら、教室行くぞ」
「あっちょっと待ってよ瑞貴〜」
俺が綾を想い始めてる?そんな訳無い。
俺が綾を好きになる理由が無い。だから、綾が俺を好きだと思うのは一緒にいる時間が多いからだ。
思い違えているんだ、きっとそうだ。
「ねぇ、瑞貴」
「何?」
階段降りながら質問され、後ろを振り返らず答える。
すると、後ろから付いてきた足音が止まり、反射的に後ろを向く。
「俺絶対瑞貴が好きだから。思い違いなんてしてないよ」
「………え」
「絶対瑞貴が俺を好きになってくれるよう頑張るから、覚悟してね」
まるで、俺の心を読んだように。そして、告白の様な台詞を吐く綾。
階段にある窓からこぼれる光が眩しくて、目を細める。
綾は、初めて見た表情をしていた。真剣で、少し辛そうな表情。
なんでそんな辛そうな表情をするのか分からない。
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