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ちゃんと待つ
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「あ…………」
何かが口から出かけたその時、口を手で塞がれる。少し息苦しくなって、綾を見る。
すると、綾は少し笑って口を開いた。
「無理には言わせない。ちゃんと瑞貴が理解してから聞きたい。
自分から聞いといてなんだけど、ちゃんと待つから。
この言葉の意味、考えてね」
言葉の意味。
何故、俺は綾が怖いと生きていけないのか。怖いというか、嫌われると?
嫌われると何故生きていけないのか。綾しか友達がいないからではなく、もっと別なもの。
「むぐぐ」
「あっ、ごめんごめん口塞いでた」
鬱がれた口が解放され、空気を吸う。
後残り少しの日誌を終えようと、シャーペンを手に取った。
「ね〜瑞貴」
「何?」
「手繋ご?」
「やだ」
「えぇ〜なんで〜いいじゃん繋ご〜よ〜」
「なんで唐突に手を繋ぐ話になったんだよ」
「いや、こう好きな人が隣にいると繋ぎたくなるもんじゃない?」
「いや俺分かんないから…」
結局、またじゃんけんで決められ、負けて手を繋ぐ事になった。
俺には運が無いのか。
二人並んで歩き、綾が俺の手に触れる。ゆっくりと、手を握ってくる。
恋人繋ぎじゃなくて、普通の手繋ぎ。それなのに、何故かドキドキする。
(なんでだ?こんなに手汗気にするの初めて)
温かい温もり、ゴツゴツした手の感触に胸が高鳴ってる。
おかしい。
まるで、自分が自分じゃなくなっていく感じ。
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