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愛しい
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「…………寝たかな?」
「すぅー…………すぅー…………」
「……良かった」
今、俺の腕の中で瑞貴は眠っている。高校生なのに、その寝顔は少し子供っぽい。
相当怖い思いをして泣いたのか、完全に体を預けている。
今日は少し用事があって外出していたら、突然の雨に降られ急いで家に帰ってきた。
嫌な予感というものは的中するもんだ。瑞貴がソファにうずくまり涙を堪えていたのを見た時は驚いた。
必死に俺に縋る瑞貴が可愛くて、愛おしくて。抱きしめても嫌がらない瑞貴を初めて見た。
俺だけにしか見せた事が無いはずの表情、声、全てが欲しい。
そんな強欲に駆られる俺を、瑞貴はすがり付いてくれた。
「ふふっ、可愛い」
「んぅ………」
柔らかそうな頬を少しつついてみる。瑞貴は顔を歪ませると、もぞもぞと動き、また表情を緩ませた。
写真を撮りたいが、生憎脱いだジャンパーに入っていて取りに行けない。
でも、こうして眺めているだけでも充分良い気がしてきた。
瑞貴が好き。大好き。愛してる。
それだけで、人はこんなにも相手に必死になれる。一ヶ月間という期間で、どれだけ瑞貴に意識してもらえるだろう。
「くぁ……俺も寝ようかな」
雨に少し濡れて風呂に入りたかったが温かい抱き枕がいるから後にしよう。
俺は一回り小柄な抱き枕を抱き寄せ、目を閉じる。
愛おしい人を抱きながら、俺は幸せな眠りについた。
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