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嫉妬
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「瑞貴〜帰ろ」
「ちょっと待って職員室に持ってくから」
放課後、やはり俺は綾と一緒にいた。日誌を書き終え、職員室へ置きに行く。
休み時間話しかけてきた男子は、葉山 灯架(はやま とうか)という名前。
身長は俺より少し高くて綾よりちょっと低いが、下を向いて袖から少し出ている指をいじっている姿を見るとそのギャップに笑える。
ちなみに今日話したのはその休み時間だけだが、また話がしたい。
本の話をするのは、心が楽で開放される。
「…………」
「……………?」
でも、何かおかしい。綾がずっと黙っている。
いつもより表情は暗く、少し距離が離れている。
俺、何かしたっけ。
そう首を傾げていると、匂いが鼻を通る。それは、綾にまとわりつく香水の匂い。
何故だろう、色々不思議が多過ぎてついていけない。
どうして綾は不機嫌そうなのか。
どうして俺は香水の匂いに苛立っているのか。
どうして、距離が離れているのか。
「今日話してた男子」
「っ?」
綾がいきなり口を開き、話しかけてくる。唐突すぎて、身体がビクッと反応する。
「仲良さそうだったね」
「読んでた本が面白いよねって話してたんだよ」
「……俺じゃない奴にも、そうやって笑うの?」
「え?」
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