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恋とは一体②
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ちょっとだけ心が軽くなった時、教室に綾が戻ってきた。
俺の方をチラ、と見て、そのまま自分の席に戻る。その態度が、少し気に食わない。
周りに女子が集まり、賑やかになっていく。俺は前を向き、買ったパンを一口齧った。
「……瑞貴君、水島君と何かあったの?」
「へ?い、いや何で?」
「だって、ずっと水島君の方見てたし…そういえば、最近水島君といる所見ない」
「灯架って……意外と観察力あるんだな」
「えへへ……俺、本読むのと人観察ぐらいしかする事ないから」
そう言ってはにかむ灯架の顔が、少し寂しそうだった。
灯架が人と一緒にいるのを見た事が無い気がする。
「……………ねぇ灯架」
「何?」
「恋人と友達って、何が違うと思う?」
「恋人と、友達?」
「一緒にいたり、話したり、笑ったりするのって友達と一緒じゃん。
キスとかも信頼が強ければ出来るじゃん。
何が違うんだろう」
「………………」
本ばかり読んで、綾としか一緒にいた事が無い俺には、恋愛感情というものが分からない。
恋愛小説を読んでも、甘酸っぱいとか心がふわふわとか。
はっきりしない表現で分からない。
どんな風に甘酸っぱいのか。どんな風に胸が苦しいのか。
経験したことの無い感情。
「……恋人と友達、違うところはちゃんとあるよ」
「え?」
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