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そう考えると、胸の痛みはどんどん酷くなる。これ以上見続けていると、壊れてしまいそう。
「帰ろう」
その後は、よく覚えていない。気づいたら家に帰ってきていた。
靴を脱ぎ、ソファに横たわる。
色んな人にぶつかった気もする。でも、それを気にするほどの余裕は無くて。
虚しさだけが残って、辛くなる。
どうすればいいんだろう。あの時、普通に声をかければ良かったのだろうか。
でも、そんな事出来ない。
原因は、俺だから。綾から逃げる様な行動をして、綾を傷つけてしまった。
自分の気持ちに気づくのはもう遅くて。
頬に一粒の水滴が流れ落ちる。顔がくしゃくしゃに歪み、涙が溢れ出た。
どんなに泣いても、名前を呼んでも現れてくれる訳じゃない。
でも、止まらない涙はソファを濡らしていく。
泣き終わった後はただ呆然としていた。夕方になった空は、清々しい程に赤く色づいている。
すると、スマホが振動を起こした。開くと、母からの電話だった。
「もしもし」
『もしもし瑞貴〜?お誕生日おめでとう〜、綾君と一緒にいるものだと思って遅くなっちゃった』
「……あぁ」
そうか、今日は俺の誕生日だった。色々と出来事が多すぎて、すっかり忘れていた。
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