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変わらぬ距離
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付き合い始めても、そこまで変わることはあまり無い。
家にいる時も、学校も、距離は縮まず離れず。
今日は綾が寝坊して、二人一緒の時間に学校に行く事になった。
綾は朝に弱いのだが、たまにこうやって寝坊して時間が一緒になることはある。
「ふぁあ……ごめんね瑞貴〜」
「別に大丈夫だよ、俺が早く行けたらいいんだろうけど御飯あんま作れないし」
「瑞貴の御飯美味しいのに……」
「あんま褒めても何も出ないよ」
実は朝こうやって、二人並んで歩けるのはちょっと嬉しい。
綾には言ってやらんが、一人はちょっと寂しくなってきた。
傍から見たら俺らはどんな感じなのだろう。
胸張って言える程勇気はないが、少しだけでも綾を独占できる時間が欲しいんだ。
「瑞貴何笑ってるの?」
「いや、大したことじゃないよ」
見た目は変わらなくても、幸せの大きさは前よりも大きかった。
「おはよぉ〜綾君っ」
「あれぇ、今日は遅いんだぁ?」
「そうなんだよ〜寝坊しちゃって」
「やだぁ〜綾君寝坊とか可愛ぃ〜っ」
「今度から私が電話で起こしてあげよっかぁ?」
「駄目だよぉ〜そしたら一緒の電車乗れないじゃんっ」
「もぉ〜皆抜けがけずるい〜っ」
朝から女子の皆さんはテンションが高いことで。
俺は今綾の背中に隠れている。背中合わせ?的な状態。
いやもう後ろから伝わる圧が怖い。なんだろう、この女子同士の争いというか。
いや、今だけは早く離れたい。
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