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多分もう叶わない
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今日の朝は瑞貴君だけだった。声をかけようとしたけど、遠くてやめた。
姉ちゃんが言ってた言葉。あれが本当なら、俺は瑞貴君が好きなんだ。
まだ知り合ってから一ヶ月も経ってないのに、こんなにも気になってしまう。
でも、瑞貴君には好きな人がいる。それはとても遠い存在の人。
付き合ってるんだろうなぁ。きっと、幸せなんだろうなぁ。
俺は、多分叶わない恋をしてるんだろうなぁ。
でも、それでも。
伝えられるだけ、伝えたい。
駅に着いて、ドアが開く。
好きな人を探すと、もう改札を通っていて。
急いで、走っていく。
「瑞貴君っ…………」
「?灯架……」
俺は、後ろから強く瑞貴君を抱きしめた。
身体から甘い匂いがする。全身が好きって伝えたくなるような甘い匂い。
「お、おい灯架……っ?」
「ごめん……」
俺は、右の口端に唇を触れさせた。唇に触れそうで触れられない距離。
これが、俺の精一杯の告白。
叶わない恋ならば、叶わない恋らしく散ろう。
「瑞貴君の事、好きでごめんね」
俺は笑った。呆然とする瑞貴君を置いて、俺は走った。
学校まで行くのに、頬には一粒の涙がこぼれ落ちていた。
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