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体育祭⑦
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「……痛い」
膝が痛い。長ズボンはいても結局は転んでるから擦れるという訳で。
かさぶたが出来てもまた転んでは怪我するのでこれぞ怪我の耐えないというのだろう。
「もう見たくねぇよぉ……」
段々合わせる事が出来てきてなんとか最後まで走れるようにはなったがまだ転ぶ時がある。
「瑞貴〜大丈夫?」
「綾見ない方がいいよ……凄くグロテスク」
上から覗き込むように膝を見られ、即座に手で隠す。
あまりにも繰り返し過ぎてなんともいえない傷になってきていた。
「瑞貴のならなんでも大丈夫だよ?」
「いやそういう問題じゃ……」
「明日体育祭だけど…交代してもらったら?」
「いや、出る。ここまで練習したし、ちゃんと走りきりたい」
「………あんまり無理しないでね?」
「大丈夫だって。綾こそリレーどうなの?」
「ん〜一番取れる。てか取る」
「そっか。楽しみにしてるよ」
「瑞貴も一番になったらなんか欲しいとか無いの?」
「え?特には…」
「え〜なんか無いの〜して欲しい事とか〜」
「えぇ……じゃあ抱きしめて欲しい、とか、頭撫でて欲しい」
綾に撫でられるのは好きだし、抱きしめられるのも嫌いじゃない。
寂しい時や心細い時に抱きしめられたりすると、凄く胸がきゅんてする。
だから頑張った御褒美というか、そんな感じでして欲しいなって思った。
「もぉ〜………いつでもしてあげるのに、なんでそんな可愛いの」
「はぁ?」
「いいよ。一番じゃなくてもしてあげる、ぎゅ〜ってして頭撫でてあげる」
「………ん」
最近気づいたけど、俺は綾の笑顔に弱いらしい。このとろけるような笑みを見る度嬉しくなる。
自分だけしか知らなくて、自分だけにしか見れない。
そう思うと、ちょっと優越感が湧いて。
「明日、頑張ろうね」
「うん」
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